データマネジメントパスポート試験 出題範囲(案)
制定の考え方
本出題範囲は、データマネジメントアカデミー設立趣意書(データの収集・整備・品質管理・ガバナンス、AI・DX、学習到達度の可視化、2027年度以降のデータマネジメント試験(仮称)への橋渡し)に基づきます。
また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が情報処理技術者試験の見直しにおいて示している方向性(ITパスポート試験の次のステップとしての位置づけ、データマネージャー像、分析基盤に関する知識、ビジネス部門・経営層との協働、データドリブンな活動の推進、生成AI時代におけるデータの準備・管理の重要性など)との整合に配慮して編成します。
なお、本試験はIPAの国家試験とは独立した民間評価であり、IPAの正式シラバス・試験要項の転載や代替ではありません。IPA側の公表内容が更新された場合は、本範囲を見直します。
試験の到達目標(概要)
- データマネジメントに関する基礎概念を理解し、組織におけるデータの計画・整備・品質・保護・利活用を、業務・経営の文脈で説明できること。
- 分析やAI活用に向けたデータの流れ(収集、加工、格納、提供)と、それを支えるガバナンスの要点を把握していること。
- 業務・分析で用いられる関係データの前提として、基本的なSQLの意図を読み取り、整備・集計・抽出の観点から妥当性を判断できること。
- オープンデータの意義と典型的な提供形態を理解し、取得・加工・再利用・自組織による公開の各局面で、品質・権利・プライバシー・出典管理の基本的な留意点を説明できること。
出題分野の構成(大分類)
以下の6分野を中心とします。配点比率は版により調整可能ですが、学習設計の目安としての参考比率を併記します。
分野A データマネジメントの基礎とDX・AIとの関係(参考比率:約12%)
- A1 データマネジメントの目的、価値、DX・データドリブン経営との関係
- A2 データライフサイクル(計画、作成、保管、利用、廃棄等)の概要
- A3 AI・機械学習におけるデータの役割(学習データ、評価、バイアスや再現性の前提となるデータ品質の意識を含む)
- A4 データマネージャー・データストュワード等の役割の違い(概念レベル)
- A5 オープンデータの概要… 意義(透明性・民間活用・イノベーション等)、機械可読性の考え方、代表的な提供形態(ファイルダウンロード、API、カタログサイト等)、行政・地方公共団体における取組の典型例(趣旨レベル)
- A6 オープンデータとデータ戦略… 外部オープンデータの分析・AI学習への活用、社内データとの突合・補完、更新頻度・ライセンス条件・出典の記録の重要性
分野B データガバナンスと組織・プロセス(参考比率:約20%)
- B1 データガバナンス、データマネジメントの枠組み(方針、標準、監督の考え方)
- B2 データオーナー、データストュワード、利用者などの責任分担(RACI等の考え方を含む)
- B3 データポリシー、利用申請、データ契約・SLAの考え方(概念レベル)
- B4 規程・教育・監査・インシデント対応など、運用に組み込む際の要点
- B5 オープンデータ・データ公開のガバナンス… 公開方針の策定、公開範囲の審査、品質基準と更新責任、メタデータ・利用規約の整備、問い合わせ・不具合対応、ステークホルダー(市民・事業者等)との関係の考え方
分野C データアーキテクチャと分析基盤(参考比率:約25%)
- C1 データモデル、エンティティ、キー、正規化の基礎(概念・論理レベル中心)
- C2 オペレーション系データと分析系データの分離の考え方
- C3 データウェアハウス、データマート、データレイク、レイクハウス等の位置づけと使い分けの考え方
- C4 ETL/ELT、パイプライン、スケジューリング、データ統合の流れ
- C5 バッチ処理とストリーミングの考え方(概要)
- C6 SQLによるデータ参照・集計… SELECT、WHERE、ORDER BY、JOIN(内部結合・外部結合の考え方)、集計関数、GROUP BY/HAVING、単純なサブクエリ、DISTINCT
- C7 SQLとデータの整合性・提供… INSERT/UPDATE/DELETEの意味と影響範囲、制約(PRIMARY KEY、FOREIGN KEY、UNIQUE、NOT NULL等)の概念、ビューの役割、インデックスの目的とトレードオフ(概念レベル)
※SQL出題は、データベーススペシャリスト試験のような高度な性能チューニングや複雑な設計専門性を主眼としません。分析・整備・品質確認に必要な実務的な読解力を測る位置づけとします。
分野D データ品質・メタデータ・マスタデータ(参考比率:約20%)
- D1 データ品質の次元(完全性、正確性、一貫性、適時性、一意性等)と測定・改善の考え方
- D2 データクレンジング、重複排除、コード値統一など整備手法の概要
- D3 メタデータの種類(業務、技術、運用等)とメタデータ管理の目的
- D4 データカタログ、ビジネス用語集(グロッサリー)の役割
- D5 マスタデータ管理(MDM)の目的と対象(顧客、商品、組織等)の典型例
分野E セキュリティ・プライバシー・コンプライアンス(参考比率:約15%)
- E1 機密区分、最小権限、職務分離、アクセスログの考え方
- E2 個人情報保護の基本(利用目的の限定、保存期間、第三者提供、委託の留意点など、概念レベル)
- E3 匿名化・仮名加工・統計処理等の考え方(概要。法令の細目の暗記は主眼としない)
- E4 社外クラウド利用、越境移転、セキュリティインシデント時の初動の考え方(概要)
- E5 オープンデータの公開・二次利用と法務・リスク… 著作権・データベースの保護の基本的な意識、ライセンス表示の考え方(クリエイティブ・コモンズ等の概念レベル)、個人情報・位置情報・統計データにおける再識別・プライバシー配慮の要点、出典明示・利用条件の遵守
分野F ビジネス連携とコミュニケーション(参考比率:約8%)
- F1 要件定義・課題設定におけるビジネス用語とデータ要件のすり合わせ
- F2 ステークホルダー調整、ファシリテーション、説明責任(アカウンタビリティ)の考え方
- F3 データ活用提案、効果測定、変更管理との関係(概念レベル)
出題の深さと形式の目安
知識問題に加え、短文シナリオに対する「最も適切な選択」の形式により、業務文脈での判断力を測定します。
SQLについては、結果セットの意味の読取り、文の意図の選択、明らかな誤りの指摘など、記述式に依存しない方式を主とします(版により記述の程度を検討可)。
オープンデータについては、制度の趣旨・提供形態・組織運用・ライセンス/プライバシー上の判断の考え方を問い、個別法令の条文番号や細目の暗記を主眼としません。
特定ベンダ製品の方言に特有の構文や操作手順の暗記、特定法令条文の丸暗記を主とする出題は原則としません。
ITパスポート試験で扱う基礎的なIT・セキュリティ一般は、本試験では前提知識として扱い、データマネジメント特有の論点に焦点を当てます。
既存の参考問題との対応(参考)
参考問題.ini の設問は、主として分野B(問1,7)、分野D(問2,5,6,9)、分野C(問3,4)、分野E(問8)、分野A(問10)に分布する想定です。SQLに関する参考問題は分野C6・C7に追加する想定です。オープンデータに関する参考問題は分野A5・A6、B5、E5に追加する想定です。
改定ポリシー
IPAによるデータマネジメント試験(仮称)のシラバス・試験要項の公表、試行問題の公開、または業界標準・法制度の重要な変更があった場合に、本出題範囲を見直します。
以上